ござ(茣蓙)とは
ござ(茣蓙)は、草や茎を織って作られた敷物の総称です。 現代では、主に「い草で編まれた敷物」をござと呼びます。四辺に縁のついたタイプが一般的。縁は種類によってついていない場合もあります。
い草ラグ・カーペットとの大きな違いは「両面使用できる点」です。い草ラグ・カーペットは不織布などが裏貼りされており、裏返して使用することができません。
一方、ござは裏側もい草のため、ひっくり返して使用することが可能です。表面の退色や劣化が気になった場合、裏を表にして敷きなおすだけで再び新品のようになります。
この他にも、ござのメリットには次のようなものがあります。
- ・通気性に優れている
- ・畳んで収納することができる
- ・軽くて持ち運びやすい
- ・処分や再利用がしやすい
ござは通気性に優れているため、下の床材を痛めることなく使用できます。 とくに下が畳の場合は、通気性が大変重要です。通気性が悪いと畳が呼吸できず、劣化を早める恐れがあります。 ござは通気性に優れているため、畳の呼吸を妨げずに保護することが可能なのです。
また、ござは中綿や裏貼りがない分、コンパクトに畳んでおくことができます。 そのため、一時的に敷くのに大変便利です。軽くて持ち運びもしやすいため、アウトドアでも使用することができます。 ござは処分の際のゴミも少なく、環境への負荷が抑えられるサスティナブルな敷物です。
ござ(茣蓙)の歴史
ござの歴史は古く、弥生時代から使用されていたと考えられています。九州地方の太宰府市道場山遺跡では、棺の中からござが発見されました。
中国や朝鮮半島にはござを使用する文化がありません。そのため、ござは日本人が発展させ、引き継いできた敷物であることがわかります。
日本の床文化の代表格といえば「畳」ですが、じつは畳を庶民が使えるようになったのは明治時代以降です。
江戸時代まで畳の使用には身分による制限がありました。畳を庶民が使うことは禁止されていたのです。畳は帽子や着物のように、身分を表現する手段でした。
そのため、庶民の床文化を支えてきたのは「ござ」であったことが伺えます。
庶民の家屋は板張りが一般的。固い床の上で、少しでも快適に過ごすために「ござ」が使用されていたのです。
ござの始まりは稲の藁を束ねただけの簡素なものでした。しかし、藁が直接肌に触れると、痛みやかゆみがあり快適に使用できません。 ござは日本人の手によって、長い時間をかけて徐々に現在の形に改良されていきました。 現在何気なく使っている「ござ」には、日本人の知恵がつまっているのです。
用途別、呼び名の違い
ござは用途に応じていくつかの種類があります。
- ・畳の上に敷く「上敷き」
- ・布団の上に敷く「寝ござ」
- ・模様入りのござ「花ござ」
畳の上に敷き詰めるためのござは「上敷き(うわじき)」と呼びます。和室のサイズに合わせて作られているため、すき間なく敷き詰めることが可能です。
布団の上に敷くござは「寝ござ」と呼ばれます。寝ござは布団のサイズに合わせて作られています。シングル、セミダブル、ダブルサイズが一般的です。
また、染色したい草を織り込むことにより、模様が入ったござを「花ござ」と呼びます。
花柄だけでなく、柄が入ったござはすべて「花ござ」です。近年、花ござのデザインはバリエーションが豊富になってきています。
それぞれのござの特徴を詳しく解説します。
畳の上に敷く「上敷き」
上敷きは、畳の保護に最適なござです。上敷きによって畳を保護することにより次のようなメリットがあります。
- ・畳の汚れを防ぐ
- ・畳の退色を防ぐ
- ・古くなった畳を隠す
畳はメンテナンスの難しい床材です。「新品の畳を汚すのが恐くて畳の上でくつろげない」そんな方も多いのではないでしょうか。
上敷きを敷いておけば汚れの心配をせず、安心して畳を使用することができます。
「賃貸の畳を傷つけずに使いたい」「子供が畳の上にラクガキしてしまわないか心配」そんな方に上敷きはおすすめです。
上敷きの一般的なサイズは1畳から8畳です。和室のサイズに合わせてサイズが展開されているため、お部屋にすき間なく敷き詰めることができます。
ただし、畳のサイズは地域や年代によって異なります。
「2畳のお部屋に2畳サイズの上敷きを用意したのにサイズが合わない!」そういったケースもあるのでご注意ください。
使用場所のサイズを測ってから購入するようにしましょう。
上敷きを敷けば、畳の青々とした美しさを長く保つことが可能です。「普段は上敷きを敷いておいて、来客時に外す」という方もいます。
賃貸物件の原状復帰のために上敷きを敷いておくのもおすすめです。
ただし、新品の畳は水分量が多く、湿気が溜まりやすいため注意が必要です。
すぐに上敷きで覆ってしまうとカビの原因になる恐れがあります。ある程度畳の状態が落ち着いてから上敷きを敷くようにしましょう。
布団の上に敷く「寝ござ」
布団の上に敷く場合は「寝ござ」をつかいましょう。 夏に寝ござを敷けばサラッとした心地よさで快適に眠ることができます。 「エコで快適な睡眠を手に入れたい!」そんな方におすすめの寝具です。 寝ござには次のようなメリットがあります。
- ・天然のひんやり感
- ・抗菌・防臭効果
- ・汗によるムレの軽減
- ・洗わずに使用できる
- ・リラックス効果
い草は天然のひんやり素材。からだを冷やしすぎずに、冷房効率を高めてくれます。上手に活用すれば冷房代が節約できますよ。 また、い草には抗菌、防臭効果があるため汗の嫌な臭いを軽減してくれます。 湿気のベタつきも軽減できるので、長時間寝ていてもサラッと快適です。寝ござを活用すれば、い草の香りに癒されながら朝まで快適に体を休めることができるでしょう。
寝ござは布団のサイズに合わせてシングルサイズ、セミダブルサイズ、ダブルサイズが用意されています。 寝ござが大きすぎたり小さすぎたりすると、寝ている間にズレてしまうことがあるため、ぴったりか、布団よりもひと回り小さめがおすすめです。
模様入りのござ「花ござ」とは
花ござとは、染色したい草を織り込んで、模様がデザインされたござです。花柄はもちろん、花以外の模様であっても「花ござ」とよばれています。
花ござの歴史は古く、飛鳥時代から貴族の間で使用されていました。
近年、伝統的な柄以外にもデザインのバリエーションが広がっています。一見い草に見えない洋風デザインや、キャラクターがデザインされているものまであります。
和、洋、エスニック、モダンなど、どんなテイストにも合わせられるほど柄のバリエーションが豊富です。 「足元にアクセントを加えたい」「和室を模様替えしたい」そんなときは花ござを取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ござ(茣蓙)について解説しました。ござとは裏貼りのついていない、い草の敷物です。用途に合わせて様々なサイズやデザインが販売されています。
ざは畳よりも日本人に長く親しまれてきた伝統的な敷物。日本人が独自に改良を加えながら、生活の中で発展させてきました。
現代においても「い草を敷くと落ち着く、癒される」という方が多いのではないでしょうか。
ござは畳んでコンパクトにできるので、使用シーンに合わせて敷いたり、しまったりするのにも便利です。
ござを上手に活用して、おしゃれで快適な生活を手に入れてください。